誰が買うのか?エンドユーザーを攻めろ。ゴアテックスブランドから学ぶ【思考ノート】

日本酒熟成酒普及人・九星気学鑑定士・カンパイSAKELOVERSの運営の石坂晏敬(やすのり)です。

今日のテーマは「誰が買うのか?エンドユーザーを攻めろ。ゴアテックスブランドから学ぶ」について考えてみました。

最近は、サポートしている酒蔵の販売方法をずっと考えているんですが、その際に僕が16年勤めていたW.L.GORE ASSOCIATES.incが行うゴアテックスブランドのブランディングと販売方法がモノを販売する上でとても参考になるというか、根本的に持っていなければならない考え方を持っているのでその点についてまとめていきたい思います。

この内容はポッドキャストで音声配信しています。

ゴアテックスブランドの販売方法

このゴアテックスブランドの販売方法は僕にとっては16年やってきたことなので、当たり前の考え方なんですが、僕の周りの人にとっては当たり前の考え方ではないので、この点をうまくまとめてみたいと思います。

ゴアテックスとは何か?について

防水透湿性素材という水の侵入を防いで、かいた汗を外側に逃がすという素材で、アウトドアのレインウェアや登山靴などに使われている素材です。今ではビジネスシューズなどにも使われています。

このゴアテックスという素材をウェアや靴のメーカーに買ってもらうという立ち位置なので、ゴアテックスのお客さんはこのウェアや靴のメーカーになります。

そして、メーカーがウェアや靴を作って卸問屋、小売店に納めて、エンドユーザー消費者が購入するとい流れになります。

ゴア社はこの素材にゴアテックスというブランドをつけて、ウェアや靴のブランドと合わせて打ち出すようにしている。

例としてはナイキというスポーツブランドがゴアテックスを使用した靴を作った場合には販売する時にナイキブランドと合わせて、ゴアテックスのブランドも打ち出しているということです。

このブランディングの話はまた別の機会に行いたいと思います。

ゴアテックスの販売方法

ゴア社はメーカーにゴアテックスの素材を販売しているんですが、メーカーに売り込みをあまりしません。じゃあ、何をするのか?

メーカーが買いたい、使いたいという環境を作り上げていく事を徹底的に行います。

どうその環境を作り上げていくか?ですが、これは多くのエンドユーザーが使いたい、多くの専門店が取り扱いたいという状況を作っていき、メーカーが使いたい、使いやすい環境を作っていくという方法です。 なんとなくわかりますかね?

普通の素材メーカーはウェアメーカー、靴メーカーに素材を提案して、他の素材の品質と価格等で比較されて、価格で折り合いをつけて販売するという流れのみで、その先の小売店やエンドユーザー消費者は見ていない、それはメーカーが考えることと割り切っているんですね。

ゴアテックスはエンドユーザー消費者、小売店へ働きかけていくという方法です。

だから、素材としてのブランドを打ち出して、その品質がどれだけ優れていることを8000m級の山の過酷な環境で素材としてどれだけ身体への負担を軽減するか、命を助けるかなどのデータを取り、実際に登山家に使用してもらい、研究を続けて、重登山ではなくてはならない素材としての立ち位置を確立する。

次にそれをウェアメーカーや靴メーカーへ伝えて、使いませんか?と働きがけすると同時に、専門店小売店に対して、説明したり、商品を提供したりして試してもらうなどして、小売店で取り扱いたいと言わせる活動に営業はフォーカスしていく。さらにマスに対して広告等でブランドを認知させていく。

このように末端で欲しい、使用したいという状況を築き、メーカーに使いたいと言わせる環境を作っていく。コレが出来ると高価格帯での販売が可能となる。

このようなアプローチ、本来の売り先であるメーカーを飛び越えて、小売店、エンドユーザーに売り込んで信頼を得るという方法をとっています。もっと細かい戦略は当然あるのですが、大枠を伝えるとざっとこんな感じです。

日本酒に置き換えることが可能か?

ゴアテックスと日本酒は立ち位置が全く違うので、完全なる置き換えは出来ないが、応用的に捉えることは出来るのではと考えています。

日本酒にの流通は酒蔵が卸問屋、酒屋に販売し、酒屋がエンドユーザーである飲食店と消費者に販売するという流れです。

今サポートしている酒蔵は、卸問屋に安く収めて、あとはおまかせ。問屋に販売とブランディングを全て委ねてしまっている。これでは酒蔵の意志は何もこめられない。

では、どうしたら良いか?
消費者にこの酒蔵の日本酒の銘柄との接点を作ることにフォーカスする。

  • この日本酒銘柄が飲めるイベントを開催して、ラベルに触れて、飲んでもらい、銘柄をインプットしてもらう
  • 日本酒をしっかりと取り扱う飲食店に使ってもらいやすい環境を作る。(一定期間の無償提供とか酒屋への卸値で販売するなど。

これをやっていくためにはこの日本酒の尖った特性を明確にして、他の日本酒との違いを伝えていくことが必要。

エンドユーザー(飲食店・消費者)との接点を増やすことで、酒屋、卸問屋が取り扱いたいと言わせる。単純な話では無いが、どこに意識を置いていくかという観点ではとても重要なことである。
問屋、酒屋に何もせずに販売を委ねるだけでは、認知もされないし、ファンも創れない。

地道だけど、ダイレクトにエンドユーザーに働きかけることは遠回りだけど、近道となる。

日本酒はゴアテックスと同じ立ち位置ではないけど、このような視点を常に持ったほうがいいというお話でした。

まとめ

モノを販売する際は、エンドユーザーを意識して、使いたい買いたいと思わせる視点を持つことが重要ですよというお話でした。

今日も最後までお読みいただきありがとうございました。