読書会✖︎日本酒のイベントレビュー(19年5月3日)
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日本酒プロデューサーの石坂晏敬(ざか)です。
池尻大橋のcafunebooksさんとのコラボ企画で
読書会にて「日本酒の楽しみ方」を伝える役目をいただきました。
今回は僕が昨年読んだ本の中で影響を与えた本ベスト3に入る本である
寺田本家の寺田啓佐氏著の「発酵道」が読書会の本です。
発酵道を語らいながら日本酒を楽しむ会という趣旨です。
それではどんなであったか紹介しますね。
読書会の本は”発酵道”
僕が2018年に読んだ中でインパクトがとても大きかったものの一冊に入る本です。
書評を見ていただくとその熱さが伝わると思います。
微生物の生き様が人間の生きるべき道と通ずるものと感銘を受けました。
その時の書評はこちらです↓↓↓
今回は主催者を入れて全部で6人で行い、
読んできた人3人、完読されていない人3人でした。
主催者のcafunebooksオーナー池野花さんから
”発酵道”の概要の説明がはじめにあり、
その後に読んできた人の感想を順に共有していく場となった。
感想は人それぞれでポイントとしている点が異なり、面白い。
日本酒づくりという観点で勉強になるという感想があれば、
自然との向き合い方、人として関わり方などと言われる方も居た。
読書会は読んだ人によって捉え方が異なる点が
面白いことなんだろうなという気づきを得ることが出来た。
他の本でもぜひやってみたい。
日本酒の楽しみ方を日本酒プロデューサーとして伝える
今回は4種類の全く味が異なる日本酒を用意して
- それぞれの味わいの特徴
- それぞれがどう異なるか
- どのような料理と合うのか
- いわゆる日本酒の印象との違い
その他様々な質問をいただきお答えしながらそれぞれの日本酒を楽しんだ。
今回の4種類はこちらである
左から「町田酒造」「田中六五」「米宗」「飛良泉 飛囀」
日本酒の区別の仕方
日本酒の味わい別に大きくくくると以下の4つに分けられる。
- 薫酒(くんしゅ)
- 爽酒(そうしゅ)
- 醇酒(じゅんしゅ)
- 熟酒(じゅくしゅ)
となる。
それぞれの特徴は簡単にいうと以下。
- 薫酒:香りが華やかで口入れ感がスッキリ
- 爽酒:スッキリ爽快でアルコールのキレも感じやすい
- 醇酒:日本酒の原料である米由来の旨味が舌にのこるふくよかさ
- 熟酒:5年熟成させた日本酒。香りも強く、旨味も舌にしっかりと残る
今回用意した四種はそれぞれこのような位置づけ
- 「町田酒造」:薫酒
- 「田中六五」:爽酒
- 「米宗」 :醇酒
- 「飛良泉 飛囀」:ジャンル外
次にそれぞれの味わいについて説明しよう。
町田酒造 純米吟醸55 山田錦 無濾過 直汲み「薫酒」
僕が薫酒の中でも上位に入る「町田酒造」
この「町田酒造」は会社名でもあり商品名でもある。
味わいはどうかというと
口入れがとても軽くスッキリしていて、華やかな梨のような香りがしっかりする。
鼻から抜ける香りもとても心地がよく。クイクイ飲めてしまう。
日本酒苦手と言われている人でも
この「町田酒造」を飲んだら
日本酒苦手という概念が変わるのではと僕は思っている。
その位無駄がなく、スッキリして香りがしっかりするお酒。
今回は香りが引き立つように深さのあるグラスを使用した。
そして、料理はさっぱりしたカプレーゼを用意した。
薫酒との組み合わせが抜群に良い。
みんなの感想は
- 「うわ〜飲みやすい」
- 「うわ〜いい香り」
- 「これはいくらでも飲めちゃう」
- 「確かに日本酒苦手な人もこれなら飲めるって言いそう」
など狙い通りの反応を得ることが出来た。
田中六五 糸島産山田錦100%「爽酒」
この「田中六五」は僕が大変お世話になっており、好きな街である福岡県糸島市の白糸酒造さんの純米酒である。
僕が一時期行っていた東京と糸島をつなげる会を開催させてもらっていた時にはよく用意してみんなに飲んでいただいていたお酒です。
味わいはどうかというと
とてもスッキリして変なアルコール感もなく、水のように飲めてしまう飲みやすいスッキリタイプのお酒です。
スッキリした中にもほんのりと鼻から抜ける米や果実の甘い香りが何杯でも飲めてしまう理由かもしれない。
「爽酒」はとてもスッキリとしているので白身、貝やタコなどの刺し身にとても合う。魚の臭みを日本酒が消してくる作用を持っている。
みんなの感想は
- 「あ〜ほんとだ飲みやすい」
- 「くいくいいけてしまう」
- 「水のようという表現がわかる」
などなど期待通りのリアクションを得ることが出来た。
米宗 純米無濾過生酒「醇酒」
この「米宗」は僕が良く通っている中目黒の酒屋”伊勢五本店”で旨味成分が多く独特な印象を僕に与えてくれたお酒です。
この時期に旨みたっぷりのお酒が少ない中、安定した旨味成分を持つのが特徴なんです。
今までの二種類のお酒とは全く異なる味わいとなる醇酒です。
いわゆる日本酒っぽいと言えるかもしれません。
華やかな香りというよりも少し香ばしい香りがした後、口の中にふくよかさが広がり、舌の上に米由来の旨味がしっかりと残ります。
今回は冷やで出しましたがこのお酒は常温や燗で飲んでも旨味を引き出せるものです。
旨味を感じてくださいと伝え、飲んでいただきました。
料理はまぐろチャーシューを用意した。味こってりのチャーシューと醇酒の旨味がしっかりと合う。
みんなの感想は
- 「うわっぜんぜん違う!」
- 「重厚感がある」
- 「確かに舌に旨味が残る」
などなど期待通りの反応を得ることが出来た。
飛良泉 飛囀「ジャンル外」
この「飛良泉 飛囀」は近所のLine@で送られてくる情報で直感で2本予約したお酒。
どんなお酒か全く分からずに手に入れた。
1本飲んでみたら明らかに飲んだことがない新しい味だったので日本酒プロデューサーとしての記念すべき第一回目の日本酒イベントで投入しようと持っていたお酒だ。
特徴は一言で言うと酸度がとても高い。数値でいうと5.5。
普通の日本酒は2前後が一般的だ。
とてもスッキリと爽やかで酸味がフレッシュさを生み出す。
完全に白ワインと呼べる位の尖ったお酒であります(汗)
最後にこれを提供させていただいたのも驚きをマックスにするためなんです。
このお酒は今日提供した中で行くと最初の「町田酒造」に一番近いと言える。
「町田酒造」や「田中六五」と並びで出すとインパクトが弱い。
なので醇酒である「米宗」との比較としたかったんです。
- 「うわっまたまた全然違うお酒」
- 「めちゃさっぱりワインみたい」
- 「出す順番も絶妙」
などなど狙い通りの嬉しいリアクションをいただいた。
まとめ
このように日本酒の味わいを幅広く味あわせてくれる居酒屋さんがまだまだ少ない。偏ったお酒が用意されていて説明もないので違いを感じようがないというのが日本酒業界の現状だと捉えている。
今回は日本酒をよく飲まれる方が参加されていたがそれでもびっくりされていたというのが上記の状況を物語っているとも感じ取れた。
一回この違いを味わってしまうとそんなに難しくはないんですが、一度経験しないことには永遠に闇の中でなんとなく日本酒を楽しむということになってしまう。
少し大げさに伝えてしまいましたが日本酒の味の違いがわかる人と一度飲みに行き、区別の仕方を教えてもらうことを強くおすすめします。
今後もこのような日本酒のイベントは僕も開催予定なので興味ある方はぜひご参加ください。
読書会も感銘受けた本に関しては是非参加したい。