ゆっくり、いそげ〜カフェからはじめる人を手段化しない経済〜  影山知明著 【書評①】

ゆっくり、いそげ〜カフェからはじめる人を手段化しない経済〜  影山知明著 【書評①】
 
この本を手にしたのは友人がFacebookで投稿しているのを見て、タイトルに惹かれてのがきっかけである。この先、自分はどうススメばいいのかと一番思い悩んでいた昨年2017年の夏にこの本を手に取った。
 
この本にはこれからの経済との向き合い方、大事なものはお金だけなのか?などこれからの人生との向き合い方を考えさせてくれる。
 
そして、僕が実現したいと思っているそこに来ればエネルギーが手に入るような「場づくり」の骨子となる考え方が詰まった
とても内容の濃い一冊である。
 
僕が特に役立った内容を何回かに分けて紹介する。
 

★ビジネスとスローの間が「ゆっくり、いそげ」

 
”経済とは元々中国の古典に登場する言葉で「経世済民(=世を治め、民を救う)」の意であるとされる。国内でも江戸時代に使われていたようだ。言葉としては、政治や生活も含めて「社会をつくる」というニュアンスすらそこには感じられる。
 
 それがいつからか「ビジネス」という言葉に置き換えられていった。
 
 ビジネスの由来は、bisig + ness。bisigは古い英語で、ここから派生した形容詞形がbusyだから、「忙しさ」をその語源に持つことになる。時間をかけず、労力をかけず、コストをかけず、できるだけ効率よく商品・サービスを生産し、お金を稼ぐ。
 
「経済」は「ビジネス」という語を経由して、気が付けば「お金儲け」の意で使われるようにさえなってきた。
 
太極には「スロー」を旗印としたムーブメントもある。近年では「降りていく生き方」「減速生活者(ダウンシフターズ)」言葉まで登場し、競争社会から離れ、少ない消費で、少ない収入でも等身大の充足感を実現する暮らし方の提唱も起こっている。
ぼくは常々、この中間がいいなと思っていた。
 
ビジネスとスローの間をいくもの。
「ゆっくり、いそげ」 。
AかBか、ではなく、どっちも。”
 
経済とは人のためにある存在だったものが、今では経済のために人が動いている、動かされている。
 
”経済=お金稼ぎ”
 
なんの疑う余地もなかったが、ここ最近違和感をもてるようになった。
 
元々経済は経世済民からきており、意味は”世を治め、民を救う”ともの。
 
今は売上、利益至上主義。
コストを最低限に抑え、安かろう悪かろう。
これが夜の大半であろう。
 
しかし、本来は自分の周りの人などが困っている、欲しているものに気づき、それを用意し、喜んでもらえるか?そんな要素もふんだんにあったのではないか?
 
無機質な買い物が多い。スーパーなどでの買い物は特に会話もなく、適度な価格のものをカゴに入れて購入していく。これが当たり前の世の中となっている。
 
そんな中、鶏肉専門店に鶏肉を買いに行くと2,3会話をして、その日のオススメの部位であったり、オススメの調理であったり、息子に鶏団子をサービスしてくれたりと、血が通う交流もある。そんな時はいつも以上に感謝の気持ちを込めて支払いしたくなる。
 
著者の影山さんが様々な角度から経済、商売について述べられているが、このお客さんとの接点について、店員の考え方、活かし方などはとても興味深いものとなっている。

 
次回から一つ一つ掘り下げて書いていきたい。