【CROSS 2018レポ】伊豆大島〜七里ヶ浜SUP60kmチャレンジのレポート!

【CROSS 2018レポ】伊豆大島〜七里ヶ浜SUP60kmチャレンジのレポート!

 

CROSSは

Challenge Race Oshima to Shichirigahamaという意味。

 

CROSSを決起したのは昨年の7月

僕は昨年の3月にSUPを再開し、今度は本格的にやっていこうと七里ヶ浜に通い始めた。

 

始めの頃はエアーで幅の広いボードで七里ヶ浜〜稲村ヶ崎往復や七里ヶ浜〜江ノ島一周などを行っていた。江ノ島一周で1時間半とかかかっていた。

 

段々と乗り慣れてきた頃に「なんか距離のChallengeしたいなぁ」と思い、

 

「七里ヶ浜から見えたり見えなかったりする伊豆大島はどれ位の距離なんですかね?」

とSUPショップのオーナーと話していた時「だいたい60kmだよ」みたいな話から

 

「時速6kmで10〜12時間」練習すれば行けるんじゃねぇとなり、

 

僕と一緒にSUPを始めた仲間およびクルーザーを所有し、この60kmチャレンジの経験者も知っている知人やこのような半無謀なチャレンジに乗ってくれそうな知り合いに声をかけて僕とオーナー含め6人が集まった。

昨年の7月7日にやるぞ~と決起会を行い、1年後に7月実施を目指し、そこからスタートした。
昨年の決起会はこちらの記事→SUP 伊豆大島〜鎌倉七里ガ浜縦断60kmツーリングチーム発足!!

当初は一年あれば、楽勝でしょ。でも思いの外上達が厳しい。練習も思い通りできない。

当初は一年もあれば楽勝でしょと思っていたが誤算がいくつか。

ランやスイムのように思った日にすぐに練習ができない。 

海まで行かなければならない点と波と風のコンディションにやるやれないを左右されてしまう。思い立っても当日練習できないという事が多かった。
 週多くても2回。行こうと思っても行けないなどが続くと月の漕ぎの回数が減る。

・レース艇というバランスの取りづらいボードを購入した。

レース艇を購入してしまったこともあり、なかなか海上でバランスが取れないことが続いた。最後まで続いた。(ただ、このおかげで短時間でバランス感覚を手に入れることが出来たと前向きに捉えている。)

・パドルの長さの定め方。

パドルは短いほうがあれた海ではコントロールしやすいとSUPショップオーナーからアドバイスいただき、確かに荒れている時は長いと身体が起きてしまうと思い、短くした。

しかし、長い時間を効率よく漕ぐにはある程度の長さが必要であることを直前で知ることとなるが長さは戻すことが出来ないので短いまま。

不安を抱えたままの当日。完こぎ出来たらもちろんいいが、行けるとこまで行こうでスタート。

Go for it !!!

 

IZA 江ノ島のスタッフのみんなに応援してもらい

前日は江ノ島のゲストハウス”IZA江ノ島”に宿泊。

スタッフのみんながとても明るく、このチャレンジの話をしたら興味を持ってくれて

「絶対無事に帰ってきてくださいね!!」
「明日、シャワー浴びに来て下さいね!!」

と温かく送り出してもらった。

▲lZA 江ノ島

絶対に戻ってきたやるぞぉ〜!!と重要な刺激を得た。

朝、3時半に江ノ島港に集合し、伊豆大島へ向けてスタート。

朝、水と食料を購入し江ノ島港は3時半に到着。
サポート漁船に詰め込みしいざ出発。

 

 

▲この船で出発です。5144

▲朝の江ノ島。9133
夜明け前の江ノ島は初体験。江ノ島が灯台の役目をしていることを初めて知る。

漁船が動き出して間もなくすると少しずつ空が明るくなり、いよいよ感が出てくる。

 

しばらくすると船内から「イルカいる!」の声が。しかし、僕は見られず。。。

船酔いがひどいままスタート。

▲行きの船でグロッキーに。
30分後くらいした所で船酔いに苦労した。船酔いをごまかすために船内で寝て過ごす。おかげで伊豆大島到着までは難なく行けたのだが、

到着してからSUP着水するまでに船がかなり揺れていてこの数分で完全に船酔い状態に。

▲船酔いながらのボード準備。表情船酔い真っ只中。

・大島の景色もろくに味わえず、南に向けてスタートした。
ボードを海へおろし、北(七里ヶ浜)に向けて出発。
船酔いのためにろくに大島を眺めることもろくに出来ず、潮に合わせての漕ぎとなる。

▲大島スタート時

▲大島スタート時

この時、江ノ島を始めとした湘南の陸は見えない。
伊豆半島と富士山とその周りの大量の雲が見えた。

最初のラップが5分台/kmと潮の流れに完全に乗る。

初の外洋体験。不安を抱えながらのスタート

最初は大きなうねりはあったが海面はトゥルトゥルで漕ぎやすかった。

▲こんな感じでトゥルトゥル。

▲こんな感じでトゥルトゥル。

最初のラップが5分/kmという数字
「いい潮の流れに乗ってる。時速10km以上だよ。予定の倍の速さだよ!!」

ここではぐいぐい進んでいる感があり、このまま行けば昼には江ノ島着くじゃん。

と船酔いであったが俄然完こぎに向けての良いスタートとなった。

 

全てを漕ぎ切るのは相当コンディションが良くないと果たせないと聞いていたので行けるとこまでというよりも、

 

まあ正直、全てを漕ぐのは無理なんだろうなという思いでいた。

その矢先の時速10km以上の情報は嬉しかった。


▲海以外見えないところを漕ぎ進めるロマン

 


▲川のような激流が発生。3141
ここはホント川のようだが、追い潮。

押してくれる潮の流れはしばらく続き、出だしはほんとにラクラク進む。
これから60kmも漕がねばならないので極力チカラは使いたくないと考え、

 

この追い潮の時は多少の遅れはいいからとにかくパドリングにチカラを入れずに漕ぐことを徹底した。パワーポイントを作らない。とにかくチカラを入れずに漕ぐことに専念。

 

船酔いがひどいこともあり、このような策とした。

 

航路の初体験。コンテナ船やタンカーが横切る。

20km手前くらいから段々と追い潮の恩恵が遠のいていった。

少しずつペースが落ちていき、7-8分/kmとなる。
その当たりではちょうど航路にあたり、東京湾から関西方面へ向かう大型のタンカーが次から次に横切っていく。

▲タンカー横切る時

▲コンテナ船も5073

 

あまりにもでかいため、僕らSUPボードは鼻くそ程度の大きさ。しっかりと避けないと飲み込まれてしまう。

 

船長さんとオーナーさんの指示で大型船もなんなくかわすことが出来た。

 

タンカーはあまりにも大きいので遠くから見ている時は動きが遅いと感じるが間近に近づいてくると一気に横切っていく。

 

この当たりはうねりがきつく、先頭集団との間にうねりが入ると先頭集団が見えなくなり、一瞬方向性を失う。

 

この当たりまでは箱根の山の麓当たりをターゲットに漕ぎ続けていた。

 

続く船酔いとチカラを入れずに漕ぐが続き、先頭から離れる事が続く。
さらに沈して離れるということを繰り返して、沈後はこれ以上離れてはならぬと座り漕ぎを行うことが増えていた。

 

西からの強い潮が発生。下手したら東京湾に流されるか!!!

25km過ぎてからは完全に追い潮はなくなり、オーナーから
「いよいよ本番のスタートです!ガンガン漕いでいきましょ!」
と潮の流れが変わった。

 

僕は引き続き、船酔い状態が続き我慢の漕ぎ。ただ、そこそこスピードもでていたので黙々と漕いでいた。

▲休憩中。30分に一度休むを繰り返していた。

▲このように網を使い、食料、水を配給いただいた。5403

その後、強い西からの潮が発生した。

 

今まで箱根の山の麓を目指して漕いでいたが、
「西からの強い潮の流れが出てきていて、猛烈に東に流されてる。まだ貯金あるからがんばっていこう」

 

と漕いでる側としてはあまり景色が変わらないのでその変化に気づかなかったが状況が一変した。

 

ターゲットが南から西側の富士山へ変更となる。

 

潮の流れに逆らいつつ、南下するという方向に進む。

 

そのため、スピードは一気に落ち、28km地点で時速4km。30km地点では時速3km以下に落ちた。

 

「踏ん張りどころだよ。今、三浦半島沖までしっかり流されてきてる。もう少し頑張ろう」

 

28km地点から約3時間かけて40km地点まで移動。

 

この間は先頭には一切立てず、集団後方で沈した後に座り漕ぎ、立てる時は立って漕ぎの繰り返しで我慢の時間となった。

 

40km地点で午後1時位。ようやく船酔いのゲップなどが出なくなり、身体にチカラが入り始める。

 

そして、西からの強い塩からの脱出。

 

腕時計のラップタイムが明らかに変化した。
16-20分/kmのラップを刻んでいたが、10分/kmというタイムに一気に飛躍した。

 

そんな矢先にオーナー指揮官から

「よく我慢した。西からの潮の流れから脱出できた。あとは江ノ島に向かって漕ぐだけだ。ダウンウィンドに乗って漕ぐだけだぁ」という大きな声が。。。。

南風と南からの波で一気に進む。

真後ろからのうねりは結構練習したのでガンガン漕ごうと前のめりになる。
この声がかかる前は「まずは時速5km出そう!!!」

であった。

その声に合わせて腕時計を見ながらガンガン漕いだ。
船酔いも取れて自分にとって漕ぎやすいうねりだったために後ろを氣にせずガンガン進んだ。

みんなが離れたがタイムは時速5kmを上回っていなかった。

▲結構頑張ってた時間。9069

 

しかし、段々と南風が発生し、7分/kmのペースでコンスタントに進めるようになってきた。すなわち時速7-8kmだ。

▲オーナー指揮官から行けるよ行けるよの激が飛ぶ

 

残り23kmで残された時間は4時間であった。

このペースを確保できればゴールできるという兆しが見えてきた。
ただし、このペースで漕ぎ続けられればだ。

 

完全なるダウンウィンドでボードを進めてくれる。ただ、風が出るとうねりが複雑化してくる。

 

ここで求められたのはいかに落ちずに波にうまく乗りながら進めるかだ。

うまく波の周期と合わせられればぐう〜んと進む。波に合うときだけパワーポイントで漕ぐイメージだ。

これでしばらくうまく進めることが出来た。

 

ただ少しずつ、うねりが複雑化してくる。

 

この段階では4人で漕いでいた。黙々と南風に乗って漕ぐ漕ぐ漕ぐ時間。

江ノ島が少しずつ鮮明に見えてくる時間である。

 

ペース的には順調であったが他のメンバーが沈しない中、自分だけ沈する割合が増えてきた。漕ぐペースは変わらないが、沈するごとに差が開く。

そういう事が続いた。自分の中ではチカラ温存してきたのでまだまだという気持ちなのだが、沈する。。。

そこで休憩中にオーナー指揮官が
「ざかちゃん、次先頭で。沈しないように焦らず慎重に漕いでいこう!!」

となった。

 

始めは沈しないように丁寧に漕いでいたので順調に距離を進めていったが、一度沈した後、連続して沈した。

 

仲間から「ボードを26インチに変えたら」とアドバイスをもらったが

変えるのが面倒だったのと、ここまで24.5インチで頑張って進めてきたので最後までこれで行きたいという思いが出てきて、

「いや、このまま行きます。」と返答した。

しかし、返答直後、連続して沈したため

 

そのアドバイスしてくれた仲間が乗っていたボードと交換してもらうこととなった。

その仲間が乗っていたボードはオーナー指揮官のクロッシング用のボードで
10km手前で体幹でバランスを取り続けることが難しいと判断し交換していた。

そのボードと交換してもらうこととなった。

 

交換し、立ち上がった瞬間世界観が変わった。
安定感が違いすぎ、踏ん張らずにただ立っているだけで立てるイメージだ。

▲これです。抜群の安定感。これで最後の8kmは救われた。交換を提案してくれた仲間には感謝しかない。

 

自分のレースボードはうねりがひどくなると脚、股関節、腹筋あたりにチカラを入れてバランスを保ちながら漕ぐことになるがそれがこのクロッシング用ではほぼいらないという違いであった。

 

それが残り8km地点での出来事であった。

 

その後は風も強くなり、海面の状況は荒れるばかり。
我慢して立ちながら漕げば、風と波で押してくれる状況は続いているので黙々と立ち続ける感じとなった。

▲最後の荒れ具合はこんな感じ①

▲最後の荒れ具合はこんな感じ②

 

そして、念願のゴール!!!

最後は七里ヶ浜ではなく江ノ島の西側がゴールとなったが最後の最後は風が強くなり、ボードがなかなか進まなくなったが最後のチカラを楽しみながら振り絞りゴールを迎えた。

▼一人ずつのゴール!!

▲僕もゴール!!!

自分の中では

”よく頑張ったなぁ〜。ゴールできちゃったよ〜。”となんとなく思っていたが、
ゴール後に

「ホントよく最後まで漕ぎ続けた!!すごい!!おめでとう!!」
言ってもらった時にこみ上げてくるものがあった。

こみ上げてくるものがあったということはそれなりに大変だったということなんだろう。

 

久々の涙だ。

 

いつ以来だろう? 

モンブラン以来か?

 

モンブランの時はゴールまでの数百メートルの声援を受けながらのビクトリーロードでめちゃ泣いてしまった。そこに至るまでの道のりが壮絶だったから仕方ない。

 

それ以来の達成感的涙だ。

 

心に刻んでおこう。

▲江ノ島でのゴール記念撮影

▲ボードを全て積み上げ。みんなでお疲れ様でした!!!

ここまで来れたのは潮と風の流れを読み、的確にジャッジし支持してくれたオーナー指揮官と船長さん。
そして、この長時間をサポートし応援してくれた仲間。

 

そして、大海原を黙々と漕ぎ続けた仲間。

がいた事でこの69kmという長い距離を漕ぎ切る事が出来た。

 

一人ではとうてい無理だし、潮の流れの知識がないままに漕いでいたら東京湾もしくは館山に流されていたし、応援、励ましの声がなければ、どこかで糸が切れていたかもしれない。

 

この時間を共有できた仲間には本当に感謝しかない。

 

一生モンの経験値を手に入れることが出来た。人生の中での素敵な貴重な一日になることは間違いない。

記録

成功率は2-3割

まず、今回の伊豆大島〜七里ヶ浜、江ノ島の旅の成功率は2-3割。ようはその日のコンディションによるところがとても大きいということである。

SUPのレースで上位に入る人でも達成できない時は達成できない。

そんな中、今回のコンディションは上の上であったということだ。上の上でぎりぎりのタイムというついているとしか言いようがない。

 

その他

▲航路。西からの潮でしっかりと三浦半島の沖合にめちゃ流されている。よく脱出できたな!!


▲11時間21分 69.36km


▲トータルストローク数(漕いだ回数)19,761回
約40,000秒なので2秒に一回のペースで漕ぎ続けたことになる。。。。

▲ラップタイム。いかに序盤が追い潮で、途中潮に逆らいながら漕ぎ、ダウンウィンドに奇跡的に変化したかがわかるラップである。

▲気温は26度〜36度。日陰なし。体感温度としてそこまで熱くはないが、日差しを浴び続けたことがすごい。